熱伝導率とは? 熱伝導、熱伝導率の測定方法、その他の熱物性値を徹底解説

熱伝導率とは、温度の異なる物質間における熱の伝わりやすさの物性値を意味します。熱伝導が大きい物体ほど熱が伝わりやすく、気体、液体、固体の順で大きくなります。熱伝導率は熱しやすさや冷えやすさの指標として、断熱材や電子デバイス回路の設計、宇宙工学の素材探索などに使われます。本記事では、熱伝導率について測定方法や熱物性値などについて解説します。

目次

熱伝導について

熱伝導とは、温度差が存在する物体の間で熱が移動する現象のことです。熱の正体は物体を構成する原子や分子の運動エネルギーであり、この運動エネルギーが隣接する原子や分子に次々に伝わることで熱量が移動するのです。

熱伝導率とはなにか

熱伝導率とは、ある距離において温度差が存在するときの単位断面積当たり1秒間に流れる熱量を指します。具体的には長さ1m、温度差1K(=1℃)において、面積1m2を1秒間に移動する熱量と定義されています。単位はW/m・K(SI単位系)です。

熱伝導率の測定方法

熱伝導率の測定法には、大きく分けて定常法と非定常法があります。

定常法は、測定対象の両側をそれぞれ異なる一定の温度に保持し、その間の熱伝導率を測定する方法です。例えば、試料の片側を高温に、反対側を低温にして両試料間の温度を測定し、熱伝導率を算出します。

他方、非定常法は測定対象の片側に熱エネルギーを与え、応答時間を測定することで熱伝導率を算出する方法です。例えば、測定対象の表面に時間で変化するエネルギーを加えながら反対側の温度変化を測定し熱伝導率を算出します。

定常法と非定常法には、次のとおり細かな測定方法があります。

大分類中分類小分類
定常法縦方向熱流法
横方向熱流法
電気的直接加熱法コールラウシュ法
径方向熱流法
細線法
温度コンパレーター法
非定常法過渡的熱流法フラッシュ法
熱線法
ステップ加熱法
温度走査法
周期的熱流法縦方向熱流法
径方向熱流法
参照:NETSUSOKUTEI8 (3) 1981 初心者のための熱物性測定(2)を元に作成

主な物質の熱伝導率

熱伝導率は、物質特有の値です。代表的な物質と熱伝導率を次の表に示します。気体<液体<固体(特に金属)の関係が認められます。

物質熱伝導率(W/m・K)
空気0.026
0.610
アクリル0.2
窓ガラス1.0
80.3
アルミ237
398
427
参照: 明治大学 伝導伝熱・対流熱伝達・ふく射伝熱

熱伝導と熱伝達の違い

熱伝導とよく似た言葉に“熱伝達”があります。熱伝導は、同じ物質の異なる点の間を熱が移動し、熱伝達は異なる2つの物質の間を熱が移動します。

一般には、固体材料表面と気体の間で熱が伝達されることを指し、単位は W/(m 2・K) で表されます。熱伝導は、伝熱面の形状や、気体の流れに影響される物性値です。

その他の熱物性値(比熱容量、熱伝達率、熱拡散係数)

熱伝導率と一緒によく使用される熱物性値に、比熱容量、熱伝達率、熱拡散係数があります。

比熱容量は単に比熱とも呼ばれ、一定圧力、体積の条件下で単位質量当たり単位温度を上げるのに必要な熱量です。

熱伝達率は、固体と流体の間の熱の伝わりやすさを表します。熱伝導率の数値は実験的に求められる物質固有の値ですが、熱伝達率は熱を放つ側と受ける側の形状、流れの影響を強く受ける数値です。

熱拡散係数は、温度勾配のある流体において高温側にある成分が低温側に拡散し熱的な平衡状態になるまでの速さを決める指標です。熱拡散率、温度拡散率、温度伝導率とも呼ばれます。熱拡散係数は一般的に、小さい分子の方が高温側に、大きい分子が低温側に拡散していく傾向があります。

まとめ

本記事では、物質中を熱が伝導する際に熱の伝わりやすさを表す物性値である熱伝導率について解説しました。

熱伝導率は、熱しやすさや冷えやすさを定量的に知る指標です。熱伝導率の測定法には定常法と非定常法に分類され、さらに縦・横方向熱流法や過渡的・周期的熱流法などがあります。

熱伝導率の評価結果は、断熱材や電子デバイス回路の設計、宇宙工学の素材探索などに活用されています。比熱容量、熱伝達率、熱拡散係数など類似の物性値と合わせて様々な商品開発の判断材料として重要です。

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記事監修者

池端 久貴のアバター 池端 久貴 代表取締役

代表取締役 池端 久貴
化学メーカーで営業、半導体装置メーカーでマーケティングの経験を経て、総合研究大学院でマテリアルズ・インフォマティクスを研究。その後、統計科学博士を取得し、旭化成(株)でマテリアルズ・インフォマティクスや自然言語処理技術活用の推進に従事。2022年に(株)CrowdChemを創業。

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