曲げ強度とは? 圧縮応力と引張応力、応用例、測定方法を徹底解説

曲げ強度とは材料の両端を固定し、中央に荷重をかけたときの破壊強さを意味します。曲げ強度はプラスチックやコンクリート、金属など材質固有の強さと加工形状で決まります。材質の曲げ強度を正確に知る利点は、高強度で耐久性の長い製品の設計が可能になることです。本記事では、曲げ強度における圧縮応力と引張応力との関係、応用例、測定方法について解説します。

目次

曲げ強度とは

 曲げ強度とは材質の両端を固定し、中央部に荷重を加えたときの破壊強さ、つまり材質が折れ曲がるまでの強さを意味します。

曲げ強度が大きいと「靭性が高い」とされます。材質が折れ曲がるまでに加えたエネルギーを抗折エネルギー、そのときの変位を最大たわみ量と呼びます。これらの数値は大きいほど靭性が高いとみなされます。

曲げ強度(σ)は、荷重(F)、支点間距離(L)、材料片幅(b)、材料厚さ(h)の間に次の関係が成立し、単位はMPa(メガパスカル)が用いられます。

σ=3FL/2bh2

圧縮応力と引張応力

材質に曲げようとする荷重を掛けるとき、材質の中心と表面の応力は異なります。材料に対して下から上に力を付加させたときの応力の状態を示したのが下の図です。

材料の中心から離れるに従って大きな応力が発生しています。掛ける力によって凹状にひずんでいる面には圧縮応力、凸状にひずんでいる面には引張応力が発生します。

圧縮応力と引張応力は、材料の中心には掛かりません。

しかしながら中心から表面にかけて徐々に大きくなり、最も表面側で最大になります。最表面の応力をそれぞれ最大圧縮応力、最大引張応力と呼びます。材質の強度は、最大応力をもとに設計することが極めて重要です。

なぜなら、材質に最大応力を超える負荷が掛かる製品設計では強度と耐久性が担保できないからです。

曲げ強度の応用例

曲げ強度の応用例は、材料の強度設計や性能評価、耐久性の確認などです。

例えば、愛知工業大学は「市販食器用磁器の曲げ強度と微構造」の報告書において、陶磁器製食器磁器に関する曲げ強度と材料素地の関係を詳細に分析しています。

また、電気通信大学などの研究においては、セラミックの曲げ強度を含む温度特性について述べられています。その他、プラスチック、金属、木材、紙などの材料において、曲げ強度は強度と耐久性を評価するうえ上で重要な指標を与えるのです。

参照1:日本セ ラミックス協 会学術論文誌 99 [6] 495-502 (1991) 
     市販食器用磁器の曲げ強度と微構造

参照2:「材料」(J. Soc. Mat. Sci., Japan), Vol.46, No.3, pp. 276-281, Mar. 1997
    セラミックスの室温・高温曲げ強度特性と破壊起点形態の関係

曲げ強度の測定方法

曲げ強度測定法には、3点曲げ試験と4点曲げ試験があります。いずれの試験方法もプラスチック、金属、セラミックなどの材料から成る試験片で測定するのが一般的です。

3点曲げ試験とは、材料の両端を2点で支え、中央に1点の荷重を加えて測定します。4点曲げ試験とは、材料の両端を2点で支え、中央から等間隔に2点の荷重を加えて測定します。

3点曲げ試験のメリットは、比較的簡単に測定できることです。ただ試験片の形状などに影響されやすく、材料の普遍的な特性を知るには適さないというデメリットがあります。

一方、4点曲げ試験は、荷重の点が2つになるため、定量的な材料特性を知るのに最適です。これら曲げ強度の標準的な試験方法は、日本産業規格JIS K7171やJIS K7017によって規定されています。

例えば、割線法による曲げ強度の標準的測定方法は、荷重−たわみ曲線あるいは応力−ひずみ曲線を描き出し、それらのデータから規定に従って歪み区間(0.05%、0.25%)の応力勾配より曲げ強度を算出します。

まとめ

本記事では、材料のひずみを表す曲げ強度について解説しました。

曲げ強度は2点で固定された材料の真ん中に荷重をかけ、靭性の程度を数値化したものです。曲げ強度が大きいほど靭性が高いとみなされ、破壊力に対する抵抗が強い(破壊されにくい)ことを示します。

曲げ強度が利用される主な場面は、材質や製品の強度測定です。具体的にはある一定以上の強度を有する材質の選定をしたり、組み立てた製品の品質保証を行ったりする際に利用されます。

日本産業規格では、標準的な評価方法として厳格な測定方法と解析手法が規定され、多くの分野で活用されています。

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