過酸化物とは?特徴、用途、構造、反応からメーカーまで徹底解説

過酸化物とは、分子中に2つの酸素原子が連結した構造を持つ物質群を意味します。過酸化物は、ペルオキシド構造 (-O-O-) を持つ有機過酸化物と、ペルオキシド構造の両末端が金属の無機過酸化物に分けられます。いずれも反応性が高く不安定で、一部、消防法危険物に該当します。本記事では、過酸化物の特徴からメーカーまで解説します。

目次

過酸化物とは

過酸化物は分子中に2つの酸素原子が連結した構造を持つ物質の総称です。過酸化物は、有機過酸化物と無機過酸化物に分類されます。

いずれも酸素-酸素の単結合が切れやすく、刺激によって容易に分解します。そのため、直射日光、火気、衝撃、摩擦、強酸、強アルカリ物質と接触させないように管理する必要があります。

人々が過酸化物を利用し始めたのは、1800年代です。小麦粉の漂白剤としてベンゾイルパーオキサイド(BPO)を使用したことが始まりです。

参照:日本有機過酸化物工業会 有機過酸化物の紹介

過酸化物の特徴

過酸化物は他の化学物質より分解しやすい性質があります。なぜなら2つの酸素原子が連結した (-O-O-) は、光や熱の刺激によって切断されやすいからです。

この切断によって発生したフリーラジカルは連鎖反応を引き起こし、発熱しながら他の化学物質を酸化させます。

過酸化物の用途

高い反応性を持つ過酸化物の特徴により、有機過酸化物は漂白剤、消毒剤、工業用の重合開始剤、硬化剤、架橋剤に使用されています。他方、無機過酸化物は農業用土壌酸素供給剤などに使用されています。

分類用途
有機過酸化物漂白剤、消毒剤、工業用の重合開始剤、硬化剤、架橋剤
無機過酸化物農業用土壌酸素供給剤

消毒剤の例として、私たちの身近にあるオキシドールが挙げられます。オキシドールには約30%の過酸化水素が含まれており、発生したフリーラジカルで細菌やウイルスを死滅させます。

過酸化物の構造

過酸化物の構造は、次の図のように分子中に2つの酸素原子が連結して出来ています。

有機過酸化物(R,R’は有機化合物)
無機過酸化物(過酸化ナトリウム)

参照:欧州化学品庁(ECHA)Disodium peroxide

過酸化物の反応

有機過酸化物の(-O-O-)結合は、光や熱などの刺激に反応して開裂し、2個のラジカルを生成します。生成したラジカルはエネルギー的に不安定で反応性に富み、他の化学物質に対して反応を仕掛けます。

この反応を有機合成に利用することで、ポリマー重合を開始させる重合開始剤や、ポリマー分子から水素を引き抜く架橋剤に使用されています。

また、細菌やバクテリアの細胞壁に攻撃を仕掛け、それらにダメージを与え死滅させる消毒剤としても使用されています。他方、無機過酸化物は、水と反応するものが多く、発熱を伴いながら水酸化物と酸素を放出します。

例えば、過酸化カリウムと水との反応は次に示すとおりです。

過酸化物の反応メカニズム

有機過酸化物の例として、過酸化ベンゾイルの反応メカニズムを示します。

下の図は、過酸化ベンゾイルが重合開始剤として働いている様子です。過酸化ベンゾイルは、熱や光の刺激により、2つの酸素が結合した部分から切断されます。切断されることで生成するラジカルが、ベンゾイルオキシラジカルです。

生成したベンゾイルオキシラジカルは、近傍のモノマーの二重結合している炭素原子と結合し、不対電子対はモノマーの末端の炭素原子に移動します。このラジカル種が他のモノマーと結合して、ポリマー化が進行するのです。

過酸化物の法規制

有機過酸化物、無機過酸化物はいずれも、消防法において危険物に該当します。例えば、過酸化ベンゾイルやメチルエチルケトンパーオキサイドは危険物第1類、過酸化リチウムや過酸化ナトリウムは、危険物第5類です。

危険物に該当することで貯蔵、取扱い、管理に厳格なルールが求められます。また、過酸化物には輸送上のルールもあり、容器、ラベルの記載内容、一度に輸送できる量などが細かく定められています。

参照:JETRO 国際連合「危険物輸送に関する勧告」

過酸化物のメーカー

過酸化物を製造している主な国内メーカーは次のとおりです。様々な用途で、様々なグレードの製品が製造・販売されています。詳細は各社のウェブサイトをご参照下さい。

企業名主な製品名
保土谷化学工業株式会社過酸化水素水溶液
日油株式会社パーブチル®シリーズ(有機過酸化物)

まとめ

本記事では、分子中に2つの酸素原子が連結した構造を持つ過酸化物について解説しました。過酸化物は酸素-酸素の単結合が切れやすく、刺激によって容易に分解します。

主な用途は、漂白剤、消毒剤、工業用の重合開始剤、硬化剤、架橋剤、農業用土壌酸素供給剤などです。過酸化物のなかには爆発性を示す物質も多くあり、消防法において危険物に該当します。

危険物に該当するような物質を扱う場合には、専門家の指示に従うことをはじめ細心の注意が必要です。

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記事監修者

池端 久貴のアバター 池端 久貴 代表取締役

代表取締役 池端 久貴
化学メーカーで営業、半導体装置メーカーでマーケティングの経験を経て、総合研究大学院でマテリアルズ・インフォマティクスを研究。その後、統計科学博士を取得し、旭化成(株)でマテリアルズ・インフォマティクスや自然言語処理技術活用の推進に従事。2022年に(株)CrowdChemを創業。

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