アミノ基とは?アミノ基を持つ化合物の構造、性質、特徴について解説

アミノ基は1つの窒素原子と2つの水素原子から構成された、アミノ化合物を特徴付ける官能基です。アミノ化合物は、私達が生きる上で欠かせないたんぱく質の原料から、ロケット燃料まで幅広い用途で使用されています。今回はアミノ基の構造、性質、反応メカニズム、さらにはアミノ基を持つ化合物について解説をします。

目次

アミノ基とは

化学物質はそれを特徴付ける官能基を持っており、今回解説するアミノ基も、特徴的な官能基を持つ物質のひとつです。

このアミノ基は、1つの窒素原子(N)と2つの水素原子(H)が結合してできています。化学物質の分子内に存在し、特有の性質を発現する部分です。例えば、水素結合を形成したり求核反応をしたりします。

また、カルボキシ基とアミノ基をあわせ持つアミノ酸は、たんぱく質の原料として有名です。このアミノ基を持つ物質の総称をアミノ化合物と呼び、有機アミノ化合物と無機アミノ化合物に分類されます。

アミノ化合物の使用用途には、医薬品、食品、工業用途などが挙げられます。

アミノ基類似の官能基

アミノ基類似の官能基にはイミノ基(=NH)、ニトロ基(-RNO2)、ニトロソ基(-N=O)、アゾ基(R−N=N−R’)、ヒドラゾ基(RR’C=NNH2)、ジアゾ基(N2=)、シアノ基(−C≡N)が存在し、それぞれ特有の性質を示します。

これらの官能基を持つ化学物質は、共通して特異な臭気がある、反応性が高い、求核反応をしやすい、生理活性を示すものが多い、などの特徴があります。

アミノ基を持つ化合物

アミノ基を持つ化合物は、有機アミノの化合物と無機アミノ化合物に分類できます。

代表的な有機アミノ化合物は、たんぱく質の原料である必須アミノ酸が有名です。必須アミノ酸であるトレオニン、体内では合成されないアミノ酸であるメチオニン、ドーパミンやノルアドレナリンの原料となるフェニルアラニンなどがあります。

他方、無機アミノ化合物で挙げられるものとして、ロケット燃料に使用されるヒドラジン、水道水や下水処理施設で殺菌剤として使用されるモノクロラミンがあります。

アミノ基の構造

アミノ基の構造は次のとおりです。中央のN原子はR(アルキル基)と2つの水素原子で共有結合を形成しています。なお、N原子にはどの原子とも結合していない1つの電子対が存在しており、この電子対のことを「非共有電子対」といいます。

アミノ基の性質

N原子に存在する非共有電子対は、酸性の水溶液中でプロトン(H)を呼び込み、-NH3となってプラスの電荷を帯びます。アミノ基が-NH3になると、アミノ基を持つ化学物質は水溶液に可溶です。

他方、水溶液がアルカリ性の時のようにプロトンが少ない時は、プラスの電荷を帯びにくくなります。従ってアルカリ性の環境では、アミノ基を持つ化学物質は溶解しづらくなります。

アミノ基の反応メカニズム

アミノ基と反応する化学基は数多くあります。

例えば、イソチオシアネート、アルデヒド、グリオキサール、オキシラン、カルボジイミドなどです。さらに具体例として、アミノ基とイソチオシアネートが反応してチオウレアが生成する反応メカニズムを次に示します(求核反応)。

参照:岡山大学 中村 俊之 日本家政学会誌 Vol.70 No.7 (2019) 植物性食品成分イソチオシアネートの反応性とその生理的関連性

また別の具体例として、アルデヒドとの反応を紹介します。アミノ基とアルデヒドが反応してN=C結合を生成する化学式が次の図です。

アミノ基を有する有機化合物を製造しているメーカー

アミノ基をもつ有機化合物を製造している主な国内メーカーは、次のとおりです。様々な用途で、様々なグレードの製品が製造・販売されています。詳細は各社のウェブサイトをご参照下さい。

企業名主な製品名
広栄化学株式会社アミン系
味の素株式会社アミノ酸
大塚化学株式会社ヒドラジン誘導体

まとめ

本記事ではアミノ基について解説しました。アミノ基は、1つの窒素原子と2つの水素原子から成る官能基です。アミノ基を持つ化学物質は酸性溶液中では溶解し、アルカリ溶液中では不溶です。

また、アミノ基を持つ化学物質はアミノ化合物と呼ばれ、医薬品、食品、ロケット燃料、殺菌剤、工業用途などに使用されています。さらにアミノ化合物の中でも有名なのは、生体を構成するたんぱく質の原料として知られるアミノ酸です。

このようにアミノ基は、有機から無機まで私たちの生命・生活に欠かせない化合物の元となる重要な官能基の一つなのです。

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記事監修者

池端 久貴のアバター 池端 久貴 代表取締役

代表取締役 池端 久貴
化学メーカーで営業、半導体装置メーカーでマーケティングの経験を経て、総合研究大学院でマテリアルズ・インフォマティクスを研究。その後、統計科学博士を取得し、旭化成(株)でマテリアルズ・インフォマティクスや自然言語処理技術活用の推進に従事。2022年に(株)CrowdChemを創業。

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