ポリオレフィンとは?種類、原料、安全性、製造メーカーの最新トレンド

ポリオレフィンは、二重結合を持った炭化水素のモノマーが重合した高分子樹脂です。硬化させて成形したり弾性をもたせてゴム状にしたり、薄く引き延ばしてフィルム状にしたりと、様々な用途に使用されています。本記事ではこのポリオレフィンについて、種類や原料、安全性、メーカーなど幅広く紹介します。

目次

ポリオレフィンとは

ポリオレフィンは、不飽和炭化水素の一種であるオレフィン (アルケン系炭化水素)を重合させたポリマーの総称です。通常、ポリオレフィンといえばポリエチレン(PE)とポリプロピレン(PP)のことを指します。

加工しやすい、柔軟性がある、軽い、フィルム化できる、耐薬品性があるなどの特長を活かして、生活用品、食品容器、自動車、電気電子製品など広範囲に使用されています。

ポリオレフィンの種類

ポリオレフィンの代表的であるポリエチレン(PE)とポリプロピレン(PP)には、それぞれ種類があります。

ポリエチレン(PE)の種類

ポリエチレンは大きく「低密度ポリエチレン」と「高密度ポリエチレン」に分類され、いずれもナフサを熱分解して得られるエチレンから製造されます。

低密度ポリエチレンは高圧法と呼ばれる製法で得られ、エチレンを1,000~4,000気圧、200〜300℃の環境下で重合させます。

他方、高密度ポリエチレンは低圧法または中圧法と呼ばれる製法で得られ、50〜200気圧、50〜250℃の環境下で重合させます。

ポリエチレンの種類比重用途
低密度ポリエチレン0.91~0.93緩衝材(プチプチ)、電線の絶縁層、農業用の黒いフィルムなど
高密度ポリエチレン0.94~0.97灯油タンク、洗剤・シャンプー容器、スーパーのレジ袋など

ポリプロピレン(PP)の種類

ポリプロピレンには、ポリエチレンのような低密度、高密度の区分けはありません。しかしながら、純粋なプロピレンを重合したホモポリマーの他に、用途を広げるために少量のポリエチレンを使用したブロックコポリマー及び、ランダムコポリマーに分類できます。

ホモポリマーはプロピレンのみが重合してできた樹脂で、剛性が高く、何度折り曲げてもちぎれにくい特長があります。バケツや洗濯ばさみなどの日用品によく使用されています。

ブロックコポリマーとは、ホモポリマーの中にポリエチレンの粉体を混合したもので、対衝撃強度に優れ自動車のバンパーやエンジン、内装などに使用されています。

また、ランダムコポリマーとは、プロピレンに少量のエチレンを混合して共重合させた高分子樹脂で優れた透明性により衣装ケースや透明なボトル、各種フィルムに使用されています。

ポリオレフィンの原料

ポリオレフィンの原料は、エチレン、プロピレン、ブテンなどのオレフィンです。なかでも最も日常的に使用されているポリオレフィンは、エチレンとプロピレンを原料に製造されたポリエチレン(PE)とポリプロピレン(PP)です。

ポリオレフィン原料構造
ポリエチレン(PE)エチレン
ポリプロピレン(PP)プロピレン
ポリブテン(PB)ブテン
出典:NITE-CHRIP(ナイトクリップ):ポリエチレンポリプロピレンポリブテン

ポリオレフィンの安全性

ポリオレフィンは、炭素と水素で構成されているため、燃焼させても二酸化炭素と水にしかなりません。従って、環境ホルモンやダイオキシンの原因となる有害物質を出すことがないことからクリーンな素材と言えます。

ただ、生分解性が乏しく環境に放出されるといつまでも残存するので、海洋ごみ問題の原因として指摘されることがあります。そのため一度使用したポリオレフィン製品は、自治体などのルールに従った廃棄が必要です。

ポリオレフィンを製造しているメーカー

ポリオレフィンを製造している主な国内メーカーは、以下のとおりです。様々な用途に、様々なグレードの製品が製造・販売されています。詳細は各社のウェブサイトをご参照下さい。

企業名主な製品名
三井化学株式会社ハイゼックスミリオン®ミペロン®リュブマー®
東ソー株式会社ペトロセン®メルセン®M
三菱ケミカル株式会社テファブロック™ CPノバテック™PP
東レ株式会社トーレペフ™

まとめ

ポリオレフィンは、エチレンやプロピレンのような分子内に二重結合を持ったモノマーが重合した高分子樹脂です。

食器やバケツ、買い物袋、灯油タンク、自動車部品、精密機器など、日用品のありとあらゆる所に使用されています。燃焼させると二酸化炭素と水に分解され環境にもクリーンな素材です。

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記事監修者

池端 久貴のアバター 池端 久貴 代表取締役

代表取締役 池端 久貴
化学メーカーで営業、半導体装置メーカーでマーケティングの経験を経て、総合研究大学院でマテリアルズ・インフォマティクスを研究。その後、統計科学博士を取得し、旭化成(株)でマテリアルズ・インフォマティクスや自然言語処理技術活用の推進に従事。2022年に(株)CrowdChemを創業。

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