フェノール樹脂とは?種類と用途、注意点も解説

フェノール樹脂はフェノール類とホルムアルデヒド類を原料とした合成樹脂です。

また、レゾール型・ノボラック型に種別され、各種基材との混合・混練や含浸・塗工により結合剤や補強材としてなど幅広い用途に使用されています。

今回は、フェノール樹脂の種類と用途、メリット・デメリットについて解説します。

目次

フェノール樹脂とは

フェノール樹脂とはフェノール類とアルデヒド類を原料とした重合反応によって得られる樹脂です。また、種類はレゾール型とノボラック型に分かれ、各種基材との混合・混練や含浸・塗工によって結合剤や補強材として幅広い用途に使用されております。

ここでは、フェノール樹脂の歴史、種類、用途を紹介します。

フェノール樹脂の歴史

フェノール樹脂は、1910年にベークランド博士により初めて工業化された最も歴史があり実績のある合成樹脂です。日本のフェノール樹脂生産統計資料によると1929年に初めて20tの生産量が記録されています。(参照:フェノールフォーム協会)

フェノール樹脂の種類

フェノール類とアルデヒド類を重合反応させることで得られるフェノール樹脂は「ノボラック型」と「レゾール型」という種類に分かれます。

ノボラック型とは、酸触媒下で反応させることで得られる再利用可能な熱可塑性樹脂です。そして、エポキシ樹脂などの硬化剤と加熱すると硬化反応が生じ、高分子量化した樹脂が得られます。

一方、レゾール型とは、塩基触媒を用いて得られる再利用不可な熱硬化性樹脂です。また、硬化剤がなくても加熱や酸により硬化反応が進むため、貯蔵中にも経時変化を起こして高分子量化することがあります。

フェノール樹脂の用途

フェノール樹脂にはいくつかの用途があります。

自動車・鉄鋼関連製品

まず、自動車や鉄鋼関連製品が挙げられます。フェノール樹脂は、優れた耐熱性、耐久性を有しているため、自動車・鉄鋼関連用に幅広く使用されています。

自動車用途では、クラッチフェーシング用樹脂やブレーキ用樹脂など摩擦材用樹脂があります。鉄鋼関連用途では、鉄鋼・セメント・ガラスなどの高温製造で必需品の各種耐火物の製造に適したものがあります。

成形複合材製品

次に、成形複合製品もあります。フェノール樹脂は、優れた耐熱性、機械的強度を有しており、フィルター用、セパレーター用、塗料用、積層用などの様々な含浸加工用途に使用されています。

住宅関連製品

さらに、住宅関連製品もあります。近年多発している異常気象などの過酷な気候条件に耐え、時代の要求に適合した環境調和型フェノール樹脂も存在します。

環境対応製品

そして、環境対応製品も存在します。技術進歩により、以前は困難であった低フリーフェノール型樹脂なども開発されています。

フェノール樹脂のメリット・デメリット

さて、ここではフェノール樹脂のメリット・デメリットについてもまとめます。

フェノール樹脂のメリット

すでに、冒頭や用途で利点に触れましたが、フェノール樹脂のメリットについてまとめます。

フェノール樹脂は加熱減量は汎用樹脂の中で最小であり、最高レベルの耐熱性があります。また、残炭率は最高レベルで高く、炭素原料に適用ができます。加えて、燃えにくく、燃焼時の煙の発生が少ないです。

そして、薬品との反応については、耐酸・耐溶剤に優れています。機械的物性については高強度・高硬度を誇ります。そして高温、高応力下で結合でき、柔軟かつ低強度な材料の補強に用いることができます。

フェノール樹脂のデメリット(注意点)

フェノール樹脂には多くのメリットがありますが、いくつかデメリットもあります。

例えば、耐アルカリに弱点があり、水の存在下で水酸化ナトリウムなどの強塩基と接触すると加水分解を起こし、樹脂の劣化が生じてしまいます。また、高硬度であるため脆く、硬化収縮もありフィルム成形はふつう困難とされています。

そして、樹脂自体が黄色、赤褐色に着色していますが、酸化すると黒くなるため、着色可能範囲に限界があります。

フェノール樹脂のメーカー紹介

フェノール樹脂の主要メーカーは以下のようになっております。(順不同)

旭有機材株式会社
小西化学工業株式会社
ケメット・ジャパン株式会社
DIC株式会社
山宗株式会社
浪華合成株式会社
リグナイト株式会社
フドー株式会社
オタライト株式会社
エア・ウォーター・メカトロニクス株式会社

まとめ

フェノール樹脂についての理解が深まったでしょうか。フェノール樹脂の特性、メリット・デメリットを理解した上で最適な使用をしましょう。

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記事監修者

池端 久貴のアバター 池端 久貴 代表取締役

代表取締役 池端 久貴
化学メーカーで営業、半導体装置メーカーでマーケティングの経験を経て、総合研究大学院でマテリアルズ・インフォマティクスを研究。その後、統計科学博士を取得し、旭化成(株)でマテリアルズ・インフォマティクスや自然言語処理技術活用の推進に従事。2022年に(株)CrowdChemを創業。

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