【フィラーとは?】役割、種類、形状、取扱方法、メーカーについて解説

私たちの身の回りにあるプラスチックやゴム製品の多くには、フィラーという化学物質が含まれています。本記事では、フィラーの役割、種類、形状、取扱方法など幅広く紹介していきます。

目次

フィラーとは

フィラーとは「高物性や高機能、あるいはコストダウンを実現するために添加される充填剤の総称で、様々な複合化材料の鍵となる素材である」と定義されています(※フィラー研究会)。

複合化材料とはプラスチックやゴム製品になる前の母材がベースの機能性材料のことです。具体的にはPET(ポリエチレンテレフタレート)やPE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、塩化ビニル、天然ゴムなどの母材に様々な添加剤を複合化したものを指します。

プラスチックやゴム母材は、そのまま成形(製品化)しても食器、バケツ、パソコンの筐体、タイヤなどには使えません。なぜなら、強度が不十分であったり、温度や光で劣化しやすかったりするからです。そこでフィラーのような添加剤を混合することで製品に必要な機能を付与させるのです。

フィラー研究会:日本で本格的なプラスチック・ゴムの生産が始まったことを受け、フィラーの基礎、応用研究に取り組む研究者、企業の開発担当者などが中心となって発足した研究会。2022年において、企業会員221社、個人会員59名の会員数が登録されている。

フィラーの役割

複合化材料には様々な機能が要求されます。例えば、強度、可塑性、抗菌、軽量化、圧電性、摺動性、断熱性、電磁波吸収、光反射・光散乱制御、脱湿・脱水、アンチブロッキング、吸油などです。フィラーをプラスチックやゴム母材に配合することで様々な機能が発現します。私たちが日常で使うプラスチックやゴム製品を便利に使えるのもフィラー効果のおかげなのです。

フィラーの種類

下記の表は、フィラーの種類ごとに使用される化学構造と付与される機能をまとめたものです。これだけみても多様な化学物質が使用されていることが分かります。

フィラーの種類使用されるフィラーの化学構造付与される機能
繊維系炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、繊維石膏など強度、導電性、制振性、
炭素系カーボンブラック、黒鉛、炭素繊維、木炭粉末など導電性、熱線輻射
窒化物系AlN(窒化アルミニウム)、BN(窒化ホウ素)など熱伝導性
水酸化物系水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムなど難燃性
フェライト系酸化鉄、サマリウムコバルト磁石(Sm-Co)、Nd-Fe-B磁石など磁性
鉱物系マイカ、クレー、ゼオライト、活性白土などガスバリア、脱臭、ガス吸収
酸化物系酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化アンチモンなど紫外線防護、吸水材、難燃剤
金属粉系鉄粉、銅粉など遮音、放射線防護
その他硫酸バリウム、硼酸亜鉛、赤燐、炭酸亜鉛、ハイドロタルサイト、ドーソナイト、硫化モリブデン、テフロン粉などその他機能

フィラーの形状

フィラーの形状は「球状」、「針状・繊維状」、「板状」と大きくわけて3つあります。それぞれ特徴があり、製品に求められる機能に応じて使い分けされます。

球状フィラー

球状フィラーは、高い耐衝撃性や熱膨張率の制御が求められる製品に適しています。プラスチック、ゴム母材にまんべんなく混ざるため、加工しやすく複合化材料全体に均一な機能を持たせやすい特長があります。

針状・繊維状フィラー

針状・繊維状フィラーは、プラスチック製品の強度を向上させたいときに有効です。複合化材料の補強や耐熱性の向上にも効果があります。炭素繊維、ガラス繊維などが代表的な針状・繊維状フィラーです。ただ、この種のフィラーは成形安定性や加工性に課題があり複合化材料の加工に高度な技術が必要と言われています。

板状フィラー

板状フィラーは複合化材料の強度の向上や制振抑制、ガスの遮蔽、表面の平滑性付与に有効です。この種のフィラーも成形安定性を維持するのが難しく、加工の難度が高いとされています。

フィラーの取扱方法

フィラーの取扱い方法について解説します。まず、フィラー自体に前処理を施す場合、次にフィラーをプラスチックやゴム母材に混錬させる場合です。

フィラーの前処理

フィラーをプラスチック、ゴム母材に混錬させる時、しばしばフィラー粒子自体の表面に化学的な前処理が施されます。この処理の目的はフィラー粒子同士が凝集することを防いだり、母材との親和性を高めて馴染みやすくしたりするためです。

フィラーと材料の混錬

プラスチックやゴム母材にフィラーを混合したり、練り混んだりすることを「混練」もしくは「コンパウンディング」といいます。

フィラーを母材に混錬する主な方法は「ロールを使う」、「ニーダーを使う」、「押し出し機を使う」の3通りです。ロールはゴム母材に混錬する時に多用され、ロールの回転を利用してゴムを押しつぶしながらフィラーを混ぜ込みます。

ニーダーとは固体同士の混合に使用される特殊な機械です。フィラーとプラスチックやゴム母材は、ニーダー内で加圧され混練します。

押し出し機も固体を混錬する特殊な装置です。ホッパーに母材とフィラーなどの添加剤を同時に投入し、機械の中で混錬します。

フィラーを製造しているメーカー

フィラーの種類は多岐にわたるため、代表的なフィラーのメーカーを紹介します。

フィラーの分類フィラーの種類製造メーカー名
繊維系炭素繊維東レ株式会社
帝人株式会社
三菱ケミカル株式会社
炭素系カーボンブラック旭カーボン株式会社
東海カーボン株式会社
窒化物系AlN(窒化アルミニウム)株式会社トクヤマ
古河電子株式会社
水酸化物系水酸化アルミニウム巴工業株式会社
日本軽金属株式会社
フェライト系サマリウムコバルト磁石(Sm-Co)信越化学株式会社
鉱物系マイカトピー工業株式会社
酸化物系酸化チタン石原産業株式会社
堺化学工業株式会社

まとめ

フィラーは、プラスチックやゴム製品の中に添加剤として混合、練り込まれている化学物質です。プラスチックやゴムを母材とした複合化材料はフィラーのもつ化学的・物理特性により私達の生活を豊かにする製品を作り出します。国内には多くのフィラーを製造、販売している企業がありますので、詳しい情報は各社サイトから入手するのがいいでしょう。

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記事監修者

池端 久貴のアバター 池端 久貴 代表取締役

代表取締役 池端 久貴
化学メーカーで営業、半導体装置メーカーでマーケティングの経験を経て、総合研究大学院でマテリアルズ・インフォマティクスを研究。その後、統計科学博士を取得し、旭化成(株)でマテリアルズ・インフォマティクスや自然言語処理技術活用の推進に従事。2022年に(株)CrowdChemを創業。

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