ガスセンサーのメカニズムとは?今後の応用可能性についても解説

「ガスセンサー」には、どのような化学製品が使われ、いかなるメカニズムで、その機能を発揮しているのでしょうか。また、ガスセンサーとは、そもそもどのような役割を担っているのでしょうか。

今回は、ガスセンサーのメカニズムと応用可能性について、詳しく学んだことがない方にもわかりやすく解説していきます。ガスセンサーの仕組みや測定原理を理解し、知識を深めたいという方は、この記事を読み進めていただければと思います。

目次

ガスセンサーとは

ガスセンサーとは、目に見えない「ガス」の存在を調べることができる装置です。「センシングデバイス」と呼ばれることもあり、センサーと呼ばれる感知器などを用いて、あらゆる情報を数値化する装置のことを指します。

ガスセンサーの仕組み

ガスセンサーは、どのようにガスを感知しているのでしょうか。

ガスセンサの流路(測定したい気体が流れる通り道)には、センサー素子が設けられています。測定対象のガスが含まれていないときは、センサー素子に空気が当たるだけで何も反応しません。

一方、測定対象のガスが入ってきたときには、センサー素子の抵抗値が変化します。この抵抗値の変化をガスの濃度として出力しています。これが、基本的なガスセンサの動作の仕組みです。

ガスセンサーの測定原理

ガスセンサーの種類には半導体式、接触燃焼式、気体熱伝導式などの種類があり、本記事では、半導体式のガスセンサーの測定原理について解説します。

半導体式のガスセンサーでは、センサー素子として「金属酸化物半導体」が用いられます。金属酸化物半導体表面に測定対象のガスが接触したときに生じる、半導体の抵抗値変化を読み取ります。この抵抗値の変化により、ガスの存在と濃度を検知します。

測定の原理としては、金属酸化物半導体の電気伝導度が、周囲のガス濃度に応じて変化する性質を利用しています。以降で、代表的な金属酸化物と、その役割について解説します。

半導体方式ガスセンサーでの金属酸化物の役割

半導体方式ガスセンサーでは、金属酸化物半導体としてSnO2(酸化スズ)、ZnO(酸化亜鉛)、In2O3(酸化インジウム)等が用いられます。このうち、SnO2が実用センサーとして広く使われています。

これらの金属酸化物は、結晶の表面に空気中の酸素を吸着することで電子が奪われ、抵抗値が高いレベルで保たれます。周囲に測定対象のガスが存在すると、ガスと表面の酸素との間で酸化還元反応が起き、この過程で生じる電子の移動で抵抗値が変化します。

半導体方式ガスセンサーでは、このようにして周囲のガスの存在と濃度を検知しています。

現代社会でのガスセンサーの使用例と課題

ここからは、現代社会におけるガスセンサーの活用事例を紹介します。また、ガスセンサーの課題について触れ、その解決例を解説していきます。

さまざまな気体の存在や濃度を測定する

ガスセンサーの主な用途は、有毒ガスや爆発性ガスの検知やガス濃度の測定です。また、環境変化を定常的に監視する目的で使用されることもあります。

具体的なガスの種類として、SO2(二酸化硫黄)、O2(酸素分子)、CO2(二酸化炭素)などがあります。

測定精度に関する課題

ガスセンサーは有毒ガスや爆発性ガスの検知に用いられることもあり、精度や耐久性が求められます。実際の測定環境においては、高温や高湿度での使用の際に大気中の水分が影響して、測定精度に影響してしまうことが考えられます。

特に、ガス濃縮処理を行うことで検出感度を高めるような技術を用いている場合、測定対象ガス成分を吸着させる捕集剤に、同時吸着した水分が、ガス濃度の測定精度を低下させるという課題があります。

測定精度の課題解決例

ガス濃度の測定精度に影響する水分への対策として、ガスセンサーを2段階で配置するという解決策があります。

第1のガスセンサーには、疎水性の吸着剤を用い、第2のガスセンサーには、親水性の吸着剤を用います。それぞれの吸着剤から脱離するガスの検出値の差分から、大気中の水分量を算出していきます。

この補正値を用いることで、高精度なガス濃度測定値を求めます。また、それぞれのセンサー部は並列に構成されており、測定対象のガスの吸着・脱離・検出する工程が、それぞれ同じタイミングで行われることを特徴としています。

ガスセンサーの応用例

ガスセンサは、使用例でご紹介した用途以外にもさまざまな応用・活用が進められています。ここからはガスセンサの応用事例をいくつか紹介し、今後の応用可能性について解説していきます。

健康状態センシング

歯科医院で「口臭外来」という言葉を目にしたことがある方は多いのではないでしょうか。

「口臭外来」では、呼気を装置に吹き込んだ後、センシング技術を用いて微量のガス成分を検知して数値化します。過去の蓄積データを照合することで、歯周病などの疾病のリスク検出として用いられています。

呼気内の微量のガス成分には、人間の代謝や疾病と関連性があることが分かってきています。消化不良の場合、腸内の嫌気性の菌が増殖することで、呼気内の水素ガスが増加します。本来、人間は体内で水素ガスを作りません。

そのため、水素ガスの発生は腸内細菌によるものであると判断できます。そこで、水素ガス濃度を腸内活動が正常かどうかを判断するひとつの指標として活用する、といった応用が考えられます。

生活空間のにおい識別

私たちが普段生活している空間には、食材や床材、人間のにおいなど、さまざまなにおいが存在しています。生活空間のにおいにも、ガス成分が複雑に混在した状態で存在しています。

過去のにおいの蓄積データとセンシング技術を用いて混在しているガスを分離・識別することで、人にとって、快適なにおいと、不快なにおいを判定・判別できます。

生活空間ごとに、必要なガス成分は残し、不要なガス成分は脱臭するといった対応をすることで、満足度の高い空間作りへの応用が期待されます。

がんの早期発見

がん患者の呼気や尿、汗などには特有の成分が含まれていることが分かってきています。ガスセンサーのセンシング技術を用いてがん患者特有の成分が検出できれば、がんの早期発見につながるかもしれません。

がん患者の特有ガス成分は濃度が非常に薄いため、高精度な検知技術が必要です。また、ガス濃度を示すことが可能でも、現場の医師が、患者ががんに罹患しているか判断するための根拠データが必要です。

そこで、ガス濃度測定値からがんである確率を数値で示し、一定値以上であれば精密検査を進めるといった、病気のスクリーニングとしての技術活用が検討されています。

今後のがん患者のビッグデータ蓄積や解析精度向上により、医療現場での利活用が期待される技術のひとつとなっています。

応用可能性が広がるガスセンサー

今回は、ガスセンサーのメカニズムと応用可能性について解説を進めました。内容のポイントは以下の通りです。

 ・ガスセンサーとは、目に見えない「ガス」が存在しているかどうかを調べることが可能な装置である

 ・半導体式ガスセンサーでは、金属酸化物半導体としてSnO2,ZnO,In2O3等が用いられており、その化学特性を活かして、ガスの存在有無やガス濃度を検知している

 ・ガスセンサー技術は、社会のさまざまな場面で活用されており、健康状態のセンシングやがんの早期発見など、これまでの枠を超えた応用例も見られる

本記事を通して、ぜひ、ガスセンサーに関する知識を深めてください。

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