バイオマスとは? 定義、注目度、意義、分類、活用事例を徹底解説

バイオマスは、エネルギーや素材を生産する際に化石燃料の代替物として注目されている資源です。現在、循環型社会やカーボンニュートラル社会の実現に向けて、安定的かつ安価に調達できるバイオマスの開発が急ピッチで進められています。本記事ではバイオマスの定義、注目度、意義、分類、活用事例について解説します。

目次

バイオマスの定義

バイオマスとは「動植物に由来する資源のうち、化石燃料を除いたもの」を意味します。「生物資源」を表すbio、「量」を表すmassをあわせて「バイオマス」という言葉が生まれました。

バイオマスは化石資源と異なり、無限に生産され循環社会を実現するための重要な概念として、近年、特に注目を浴びています。また、バイオマスをエネルギー変換したものをバイオマスエネルギー、素材変換したものをバイオマス素材と呼びます。

参照:NEDO 再生可能エネルギー技術白書

バイオマスが注目され始めたきっかけ

バイオマスが日本で注目されたきっかけは、1973年に起きたオイルショックです。

オイルショックは中東の産油国が原油価格を一斉に引き上げたことで一気にインフレが進行し、日本の消費者に不安が広がり起こりました。

翌年、政府主導で「サンシャイン(SS)計画」が立案され、石油に頼らないエネルギーの長期的な安定供給の確保を目指すため、風力発電やバイオマスエネルギーの研究などがテーマに採り上げられました。

また、2005年に閣議決定された「京都議定書目標達成計画」や2009年に制定された「バイオマス活用推進基本法」も、バイオマス推進の強力なモチベーションとなっています。

バイオマスにはどんな種類があるのか

バイオマスは「廃棄物系」「未利用資源系」「資源作物系」に大別できます。

バイオマスの具体的な例としては、「家庭から排出されるゴミ」「食品廃棄物」「公園や街路樹などから発生する木くずや落ち葉」「森林の間伐材、剪定材」「木造住宅の解体で発生する廃木材」「家畜ふん尿」などが挙げられます。

バイオマス素材について

バイオマスは、熱やエネルギー変換以外にも「バイオマス素材」として活用されます。

バイオマス素材とは、バイオマスを原料にした化学物質の総称です。実用的に流通している主な素材は、バイオプラスチックです。バイオプラスチックには、バイオプラスチックには再生可能な植物原料を活用したバイオマスプラスチックと、微生物の働きで自然界で完全に分解される生分解性プラスチックがあります。

バイオマスプラスチックはPE(ポリエチレン)やPC(ポリカーボネート)として既に実用化されていて、幅広い製品に使用されています。他方、生分解性プラスチックには、PLA(ポリ乳酸)やPHA(ポリヒドロキシアルカノエート)などが挙げられ、マイクロプラスチックによる海洋汚染対策として期待が高まっています。

種類原料
バイオマスプラスチックバイオPEサトウキビ、廃食用油、トール油
バイオPETサトウキビ
バイオPP廃食用油、トール油等
バイオPCトウモロコシ、小麦等
生分解性プラスチックPLAトウモロコシ、サトウキビ
PHA菜種油、大豆油、パーム油
PBATサトウキビ
PBSサトウキビ、トウモロコシ
参照:環境省 プラスチック資源循環を元に作成

バイオマスの課題

都市部で発生する「生活系廃棄物」など、都市で得られるバイオマスも存在します。しかしながら、すべてのバイオマスが有効活用することは容易ではございません。

例えば「未利用資源系」バイオマスである間伐材や剪定材は、大量に発生するものの広範囲で発生します。このため、収集・運搬・管理に関する高いコストが課題となり、有効な活用が進まない状況です。

さらに、「資源作物系」バイオマスは、食料と競合する問題があります。例えば、ブラジル政府は国策としてサトウキビを積極的にバイオエタノールに変換しています(参照)。同時に米国は、トウモロコシを原料にバイオエタノールを生産しています。

しかし、サトウキビやトウモロコシは人や家畜が食料としても利用されるため、食料との競合が議論されています。近年では、「非可食バイオマス」と呼ばれる、食料と競合しないバイオマスの開発に注力すべきという声が挙がっています。

参照:独立行政法人 農畜産業振興機構 ブラジルのバイオエタノールをめぐる動向を元に作成

バイオマスの意義

バイオマスを活用する意義は、大きく2つあります。1つ目は「地球温暖化に対する対策(カーボンニュートラル)」と、2つ目は枯渇する石油資源に対する「循環型社会の実現」です。

1つ目の「地球温暖対策」については、地球温暖化ガスの発生量の抑制にバイオマスの意義があります。すでに地球規模で世界の平均気温の上昇や(気象庁)、100mm以上の雨が降る日が増加する傾向(国土交通省)が現れているなか、バイオマスによる地球温暖化ガスの固定化が有効に働きます。

2つ目の枯渇する石油資源に対する「循環型社会の実現」については、持続可能なエネルギーの供給にバイオマスの意義があります。なぜなら有機的な生物資源は化石資源より短時間で再生産されるからです。

加えて日本においては、地方に未利用で放置されているバイオマスの有効活用を地域活性の起爆剤にしようとする考え方もあり、バイオマス開発の意義は大きいものと考えられます。

参照元:気象庁 世界の年平均気温
参照元:国土交通省 安全・安心社会の確立に向けた国土交通行政の展開

まとめ

本記事では、バイオマスについて解説しました。バイオマスとは動植物に由来する、化石燃料以外の資源です。日本では1973年のオイルショックがきっかけで、石油に代わるエネルギーとして研究が進められてきました。

コストや食料との競合などの課題があるものの、カーボンニュートラルな循環化社会の実現や地域の活性化など、バイオマス開発における意義は計り知れません。

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記事監修者

池端 久貴のアバター 池端 久貴 代表取締役

代表取締役 池端 久貴
化学メーカーで営業、半導体装置メーカーでマーケティングの経験を経て、総合研究大学院でマテリアルズ・インフォマティクスを研究。その後、統計科学博士を取得し、旭化成(株)でマテリアルズ・インフォマティクスや自然言語処理技術活用の推進に従事。2022年に(株)CrowdChemを創業。

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