難燃性とは? 燃焼と難燃性の関係、繊維・建築素材の難燃性を徹底解説

難燃性とは、物質が燃えにくい性質を意味します。難燃性を持つ製品は、働く人々の仕事環境の安全を守っています。例えば、危険の伴う工事現場での作業や、強い火力を使用する製造設備の耐火構造には、難燃素材が使用されています。企業が従業員の安全を確保するには、難燃素材が欠かせません。本記事では、難燃性について燃焼、遷移・建築材料の難燃性、試験方法を解説します。

目次

難燃性とは

難燃性とは、物質が燃焼しにくい、または炎が近くにあっても燃え移りにくい性質を意味します。

物質が燃える「可燃性」と、まったく燃えない「不燃性」の間にある概念ですが、相対的な基準であるため絶対的に評価することはできません。

例えば、自動車の内装の難燃性(参照1)と建築物の内装の難燃性(参照2)はそれぞれ異なる評価方法が規定されており、“絶対評価”ができないことがわかります。

参照1:内装材料の難燃性の技術基準 別添27 内装材料の難燃性の技術基準
参照2:建築基準法施行令(昭和25年政令第338号)第108号の2各号

燃焼と燃焼の関係とは

燃焼とは、物質同士の相互作用により化学反応が進行し、熱と光のエネルギーを発生させながら、物質を構成する分子の組み替えが起こることを意味します。

燃焼には、「可燃物」「酸素」「熱」といった3つの要素が同時に存在することが必要です。そのため、これらの条件は「燃焼の三要素」と呼ばれます。

燃焼を防ぐには、3つの要素を揃えないことが大切です。具体的には、可燃物そのものを難燃あるいは不燃素材にしたり、難燃性の物質を配合したりする必要があります。

繊維素材の難燃性

難燃性が最も必要とされる素材は、繊維の領域です。

繊維は衣服や家庭、オフィスの絨毯、カーペット、カーテンなど広く日常品に使われていること、そのままでは燃焼しやすい素材であることから、火災のリスクから人を守るために難燃性が重要視されてきました。

繊維は、不燃性・可燃性・難燃性の3つに分類されます。不燃性繊維は、ガラス繊維や金属繊維などの無機繊維です。

可燃性繊維は、分子構造が炭素(C)、酸素(O)、水素(H)から成るポリエチレンやポリアクリルのような繊維です。

そして、ハロゲンやフッ素がポリマー骨格を構成している繊維、あるいはリン系難燃剤を含有する繊維は、難燃性繊維に分類されます。

繊維素材具体例
不燃性ガラス繊維、金属繊維
可燃性ポリエチレン(PE、PP)やポリアクリル(PMMA)
難燃性ポリ塩化ビニル(PVC)、フッ素繊維、難燃剤含有繊維

建築素材の難燃性

建築素材の難燃性も、繊維に勝るとも劣らないほど重要です。日本には家屋の密集地が多く、火災発生時の被害が大きくなるリスクがあるため、その危険回避が重要視されています。

火災時の延焼を防ぐ要素として防火組織、立地条件、防火設備など総合的な対策も大切ですが、耐火建材を使用することも重要な対策のひとつです。

セメントや石膏ボードなど不燃性材料の活用や、これらが使用できない建材には難燃剤を含有した木材やプラスチック、壁紙などを使用して対策が講じられています。
参照:消防庁 令和4年版 消防白書

難燃性の測定方法

難燃性の測定法は、用途によってさまざまあります。例えば、自動車内装材の燃焼性にはFMVSS 302燃焼試験、鉄道車両には鉄道車両用材料燃焼性試験、建築防火材料には、コーンカロリメータによる発熱性試験などが挙げられます。

以下のとおり、繊維製品の燃焼性試験方法(JIS L 1091)について、表にまとめました。

試験方法説明
A-1、A-2法試験片に着火し、残炎時間および残じん時間を測定
A-4法(垂直法)試験片を垂直に設置し、試験片の下端から炎を当てて燃焼する長さを測定
B法(表面燃焼試験)試料片を斜めに配置し炎を当てて燃焼の広がりを測定
参照:繊維製品の燃焼試験(JIS L 1091(1999))

このように難燃性の試験には、目的や用途に応じてさまざまな種類があります。

まとめ

本記事では、物質の燃えにくさの指標となる難燃性について解説しました。難燃性は、私達の生活を安全にしたり快適にしたりするために大切な性質です。

難燃性の製品を製造するためには、物質そのものが持つ特性を活かしたり、燃焼の三要素である「可燃物」の性質を調整したりします。難燃性の評価方法は、製品の目的や用途によってさまざま開発されています。

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記事監修者

池端 久貴のアバター 池端 久貴 代表取締役

代表取締役 池端 久貴
化学メーカーで営業、半導体装置メーカーでマーケティングの経験を経て、総合研究大学院でマテリアルズ・インフォマティクスを研究。その後、統計科学博士を取得し、旭化成(株)でマテリアルズ・インフォマティクスや自然言語処理技術活用の推進に従事。2022年に(株)CrowdChemを創業。

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