メラミン樹脂の魅力とは?構造、最新用途、誘導体、製造方法を徹底解説

本記事では、耐久性、耐衝撃性に優れ、耐水性、耐候性、耐磨耗性などの特長から社員食堂や学校給食の食器などによく使用されるメラミン樹脂について解説します。今回はその歴史、用途、特徴、構造、反応メカニズム、製造メーカーについて紹介します。

目次

メラミン樹脂とは

メラミン樹脂は、メラミンとホルムアルデヒドを重縮合させた熱硬化性の合成樹脂です。

機械的強度、耐衝撃性、耐水性、耐候性に優れていることから、強度が求められるさまざまな用途で使用されています。熱硬化性樹脂のため、一旦硬化すると再度加熱しても硬い状態を保持し続け、良好な耐熱性を示します。

ホルムアルデヒドの危険性が指摘されていますが、メラミン樹脂自体の毒性は知られていません。

メラミン樹脂の歴史

メラミン樹脂は、1930年代に米国の化学者ウィリアム・タルボット氏によって開発されました。日本でも昭和26年(1951年)あたりからメラミンの製造技術の発展に伴い、急速に普及したようです。
参照:Jstage メラミンおよびメラミン樹脂 有機合成化学第20巻第3号

メラミン樹脂の用途

メラミン樹脂は、日用品から精密機器まであらゆる用途に使用されています。具体的には、多くの人が使用する食器や清掃用のスポンジ(メラミンスポンジ)、家具の化粧板などが挙げられます。

また、絶縁性や耐熱性を有することから、電気電子部品のコネクターやスイッチ、基板、ケースなどにも使用されています。

さらに、メラミン樹脂とポリエステル系樹脂アルキド樹脂を合成した塗料で焼付塗装することを「メラミン塗装」と言います。この塗装方法は、オフィスのロッカーや棚、事務机といった事務用品に施されています。


アルキド樹脂
参照元:Elsevier Alkyd Resins

メラミン樹脂の特徴

メラミン樹脂の特徴は、機械的強度が高く、耐衝撃性、耐水性、耐候性に優れていることに加え、耐摩擦性、耐水性、耐熱性が良好なことです。他にも、着色性がよく色々なデザインの最終製品に仕上げることができます。

加工性もよく圧縮、射出および移送成形(圧送成形)などの方法で加工できます。熱硬化性樹脂のため、一度硬化させると形が崩れません。

ただし、メラミン樹脂は、耐薬品性が弱く酸性やアルカリ性の物質と接触により分解します。また高い温度にも弱いため、電子レンジやオーブンレンジでの使用は避けた方がよいとされています。

メラミン樹脂の構造

メラミン樹脂は、メラミンとホルムアルデヒドを縮重合させた高分子です。6員環に3つのN原子を含むメラミン骨格に、配位した3つの-NH2基が互いに連結して高分子構造を形作ります。

R:HorCH3
出典:sigmaaldrich

メラミン樹脂の反応メカニズム

メラミンの1位のCに-NH2にホルムアルデヒド(HCHO)が反応し、メチロール化します。1位のCに配位している-NH2の水素原子一つが-CH2-OHに置換したものをモノメチロール、ふたつの水素原子両方が-CH2-OHに置換したものをジメチロールと言います。

このメチロール化したメラミンが他のメラミンと次々に縮重合し、メラミン樹脂が形成されます。メラミン樹脂は、未反応、モノメチロール、ジメチロール モノマーが複雑に高分子化した構造を有しています。

出典:E-Journal of Chemistry 2009, 6(1), 120-124

メラミン樹脂の製造法

メラミン樹脂はメラミンとホルムアルデヒドを縮重合させた高分子です。一般にはpH7〜9の範囲でアンモニウム塩などの触媒の共存化、65℃前後の温度で縮重合を促して製造します。

高分子のメラミン樹脂が生成する前に、中間体のメチロールメラミンを経由します。

メラミン樹脂を製造しているメーカー

メラミン樹脂を製造している主な国内メーカーは次のとおりです。様々な用途に、様々なグレードの製品が製造・販売されています。詳細は各社のウェブサイトをご参照下さい。

企業名主な製品名
日産化学株式会社オプトビーズ®
メルク株式会社Melamine-formaldehyde resin
住友ベークライト株式会社メラミン変性フェノールレジン

まとめ

メラミン樹脂は、メラミンとホルムアルデヒドを重縮合させた熱硬化性の合成樹脂です。1930年代に米国で初めて製造法が確立し、日本には20年後に広まりました。

耐久性、耐衝撃性に優れ、耐水性、耐候性、耐磨耗性、絶縁性、耐熱性などの特長から食器や清掃用のスポンジ、さらには家具の化粧板、電気電子部品のコネクターやスイッチ、基板など幅広い用途で使用されています。

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記事監修者

池端 久貴のアバター 池端 久貴 代表取締役

代表取締役 池端 久貴
化学メーカーで営業、半導体装置メーカーでマーケティングの経験を経て、総合研究大学院でマテリアルズ・インフォマティクスを研究。その後、統計科学博士を取得し、旭化成(株)でマテリアルズ・インフォマティクスや自然言語処理技術活用の推進に従事。2022年に(株)CrowdChemを創業。

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