ガラスの不思議な構造。ガラスに秘められた用途、種類、製造方法を徹底解説

本記事では、SiO2(二酸化珪素)を主成分とした無機固体「ガラス」を取り上げます。日用品からハイテク分野まで、様々な用途に使用されているガラスは私達の生活に深く入り込んでいます。

用途、種類、構造、メーカーについて網羅的に解説しますので、ガラスについての理解を深めることができます。

目次

ガラスとは

ガラスとは主にSiO2(二酸化珪素)を主成分とした無機固体です。加熱によって粘性の高い液状に変化するので、加工が容易で様々な形に細工できます。硬く変質しにくい上、耐熱性や電気絶縁性があることから日用品からハイテク素材まで様々な用途で使用されています。

ガラスの用途

古くはビーズなどの装飾品、日用品では窓ガラス、蛍光灯、自動車のフロントガラス、ガラスコップ、鏡などが主な用途です。またハイテク分野では、テレビやパソコンのモニター、光ファイバー、半導体、光学機器、太陽光発電などにも使用されています。

ガラスの種類

ガラスはその用途に応じて組成と加工方法が選ばれます。以下に用途別ガラスの種類について解説します。

一般的なガラス

ガラスコップや窓ガラスなど日常で最も多用されるガラスは、ソーダ石灰ガラスからできています。ソーダ石灰ガラスは、SiO2(二酸化珪素)、Na2CO3(炭酸ナトリウム )、CaCO3(炭酸カルシウム)を混ぜて融解して得られます。

放射線の遮蔽や工芸品

レントゲン室の操作室の窓は放射線をさえぎる必要があります。このような特殊な環境で使用されるガラスには、鉛ガラスが使われています。

鉛ガラスはSiO2(二酸化珪素)、K2O(酸化カリウム)、そしてPbO(酸化鉛)で構成されています。鉛は密度が高く、放射線の遮蔽効果があることと酸化鉛が無色であることからこの用途に使用されているのです。また鉛ガラスの高い透明性は、工芸品にも適しています。

化学実験のビーカーや耐熱食器

化学実験で使用されるビーカーや三角フラスコ、電子レンジに使用できる耐熱ガラスは、ホウケイ酸ガラスが使用されています。

たとえば、研究室でよく使用されるパイレックス®(※)の三角フラスコの原料は、SiO2(二酸化珪素)、B2O3(酸化ホウ素)、NaCl(酸化ナトリウム)、Al2O3(酸化アルミニウム)です。

ホウ酸により耐熱性が向上する理由は、ホウ酸を配合するとガラスの密度が低くなり熱膨張率が低下、温度差に対して熱応力が減少するからです。

※パイレックス®. PYREX®.:CORNING Incorporated の登録商標です。

光ファイバー、光学レンズなどのハイテク分野

光ファイバー、光学レンズなどのハイテク分野には、石英ガラスが使用されています。組成は、高純度のSiO2(二酸化ケイ酸)です。

たとえば、光ファイバーは二重構造になっており、石英ガラスは中心部のコアに使用されています。コアで使用される石英ガラスは高い電気絶縁性により外部からの電磁波をシャットアウトし、高屈折率なため遠くに伝播させるのです。

ガラスの種類別の物性値

用途別にご紹介したガラスの種類ごとの物性値は以下の通りです。

ソーダ石灰ガラス鉛ガラスホウケイ酸ガラス石英ガラス
屈折率1.51.7-1.81.4-1.61.5
軟化温度720-730℃585℃525℃1700℃
熱伝導率1.00.61.21.5
比重2.54.42.52.2
ヤング率72GPa63GPa73GPa72GPa
ポアソン比0.230.240.200.16
熱膨張係数90×107/℃80×107/℃42×107/℃55×107/℃
曲げ破壊応力49MPa25MPa25MPa67-105MPa

ガラスの構造

ガラスの構造は古くから議論の的になっています。具体的にはガラスの結晶性についての議論です。

現在、常温の固体ガラスは「非晶質」であるとされています。非晶質とは「固体を構成する原子や分子・イオンが結晶構造のような規則性をもたない状態のこと」と定義されています(国立研究開発法人科学技術振興機構)。

たとえば、ガラスの主成分である二酸化珪素の場合、下図のように原子の配列に規則性がないことが「非晶質」たるゆえんです。

出典:化学と教育 68 巻 12 号(2020 年)

通常、高温で液体状の分子や原子が冷却されたら構成原子(分子)が再配列して結晶化します。

しかしガラスの場合、液体に似たランダムな構造を保持したまま固まります。この固体とも液体ともいえないランダムな分子配列のおかげで透明性を示します。

ただ、ガラスがなぜ低温でも結晶化しないのかは現在でも未解決問題なのです。

ガラスを製造しているメーカー

ガラスを製造している主な国内メーカーは次のとおりです。様々な用途に、様々なグレードの製品が製造・販売されています。詳細は各社のウェブサイトをご参照下さい。

企業名主な製品名
AGC株式会社106、1027など
日本電気硝子株式会社OA-10G、T-275Hなど

まとめ

SiO2(二酸化珪素)を主成分としたガラスは、透明性、加工性、耐熱性、絶縁性などの特長を活かし、日用品からハイテク分野までざまざまな用途に使用されています。

これらの特性は、固体と液体の中間の状態である「非晶質」構造に起因していますが、常温になっても結晶化しない理由は未だ解明されていないのです。

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記事監修者

池端 久貴のアバター 池端 久貴 代表取締役

代表取締役 池端 久貴
化学メーカーで営業、半導体装置メーカーでマーケティングの経験を経て、総合研究大学院でマテリアルズ・インフォマティクスを研究。その後、統計科学博士を取得し、旭化成(株)でマテリアルズ・インフォマティクスや自然言語処理技術活用の推進に従事。2022年に(株)CrowdChemを創業。

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