タルクの驚くべき応用事例とは?構造、安全性、製造メーカーについても徹底解説

天然鉱石から産出されるタルクは、耐熱性や電気絶縁性が高く化学的にも安定なため様々な用途に使用されています。本記事ではタルクの用途、構造、気になる安全性やメーカーなどを幅広く解説します。

目次

タルクとは

タルクとは和名で「滑石」と呼ばれる白色及び灰色をした無機鉱石です。世界最大の産出国はインド、次いで中国となります。その他、オーストラリアやパキスタンでも産出します。

鉱石の中では硬度が低く(硬くない)、高い耐熱性と電気絶縁性を兼ね備えた機能性無機素材です。さらに化学的な安定性も相まって、日常のあらゆる製品に使用されています。

タルクの歴史

タルクは、石の状態で採掘され、薄いピンクや薄緑色を示すことからアクセサリーとして古来から使用されてきました。近年になり、粉体に加工することでプラスチックやゴム、紙への添加材として応用できることが知られ、現在では紙、プラスチック、ゴムの他、塗料、化粧品、医薬品へなど幅広く使用されるようになっています。

タルクの用途

タルクは通常、微粉状に粉砕され製紙、ゴム、電子部品、塗料、化粧品、農薬などの分野の製品添加剤として使用されます。下表はタルクの業界ごとの使用用途です。

業界用途
製紙コート紙のコート部分、填料、ピッチコントロール剤
ゴム製造充填材、離型剤
電子部品積層板、絶縁性シート、接着剤
塗料ダレ止め充填材、体質顔料(色調の調整材)、粉体塗料
化粧品化粧品の着色剤の希釈や増量剤、皮膚への付着性向上
農薬肥料粒子の固結防止、造粒性向上のための粒剤のキャリアー

タルクの特徴

タルクの一番の特徴は無機鉱物中で最も軟らかく、耐熱性や化学的に安定していることです。

このことで様々な素材の添加材として使用されています。また、天然向き鉱物であることから安価に手に入り、不純物であるアスベストさえ除去されていれば人体や環境に対しても安全な素材です。

タルクの構造

タルクは水・珪素・酸素・マグネシウムから構成される珪酸マグネシウムの水和物です。


タルクの化学式:(3MgO・4SiO2・H2O)
出典:生活工学研究 第8巻 第1号(2006)タルクの構造と特性

微細な薄片状の結晶が集合した形状で、Si-O四面体構造とMg-OH八面体構造が二次元に重なった構造です。天然鉱物のため、珪酸マグネシウム以外にもわずかな不純物が含まれています。産出された直後の状態では、他の鉱物や稀に毒性のあるアスペスト(石綿)が含有していることがあります。

タルクの安全性

アスベスト(石綿)は、発がん性の疑いが指摘されています。タルクに含まれるアスベストは発がん性の原因になることから、日本では労働安全衛生法により、次のとおり、製造、輸入、譲渡、提供、又は使用が禁止されています。

第五十五条 黄りんマツチ、ベンジジン、ベンジジンを含有する製剤その他の労働者に重度の健康障害を生ずる物で、政令で定めるものは、製造し、輸入し、譲渡し、提供し、又は使用してはならない。ただし、試験研究のため製造し、輸入し、又は使用する場合で、政令で定める要件に該当するときは、この限りでない。

引用:労働安全衛生法 第二節 危険物及び有害物に関する規制 (製造等の禁止)第五十五条(製造等の禁止)
参照:同法 第二章 (安全衛生責任者)第十六条

一方で、タルク自体は発がん性の原因となりうる明確なデータが示されておらず、現在もなお食品添加物や化粧品にも使用されています。ただし、国内のタルクはアスベストを含まないように厳格に管理されているものだけが市場に流通しているのです。

タルクを製造しているメーカー

タルクを製造している主な国内メーカーは、次のとおりです。様々な用途に、様々なグレードの製品が製造・販売されています。詳細は各社のウェブサイトをご参照下さい。

企業名主な製品名
日本タルク株式会社ミクロエース®
富士タルク工業株式会社LMS-200、ST100

まとめ

タルクとは「滑石」と呼ばれる無機鉱石で、インドや中国で産出されます。微粉状に粉砕され製紙、ゴム、電子部品、塗料、化粧品、農薬など幅広い分野で使用されています。

タルクは天然鉱物のため、アスベストが不純物として含有していることがあります。ただ、日本の法律によりタルクはアスベストを含まないように厳格に管理されています。

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