化粧品開発担当者必見!CrowdChemの革新AIが切り拓く油性化粧品の最適化戦略

「高温での物性変化が予測できない」「試作品の評価に時間がかかる」「最適な原料の組み合わせが分からない」……油性化粧品の開発において、こうした課題を抱えていませんか?

CrowdChem Data Platformを使えば、実験を行わなくても高温安定性や分散性などの物性値を簡単に予測し、評価することができます。豊富な処方データベースとAIの力で、化粧品開発プロセスを大幅に効率化します。

本記事では、油性化粧品の開発を例に、データ駆動型の処方設計アプローチについて解説します。従来の試行錯誤型の開発から、AIを活用した効率的な原料選定への転換がいかに可能か、具体的な事例とともにご紹介します。

化粧品の研究開発部門の方、原料メーカーの技術営業の方、データ活用による開発プロセスの改善を検討されている方は、ぜひご一読ください。

目次

油性化粧品における主要課題

油性化粧品は、その高い保湿性能と滑らかな使用感により多くの消費者に支持されています。しかし、高温環境や長期間保存時には以下の課題が浮き彫りになります。

  • 高温環境での品質変化:高温下で成分が分離したり、安定性が低下する。
  • 再分散性の低下:長期間の静置後に顔料が凝集し、使用前に再分散が難しい。
  • 滲みや崩れ:汗や皮脂により化粧が崩れるリスクが高い。

これらの課題は、夏季の使用環境や輸送・保管時にも問題になります。例えば、40℃以上の環境下での保管では、製品の粘度変化や相分離が加速されてしまう恐れがあるのです。また、長期保存における分散安定性の確保は、製品の品質維持において重要な技術的課題となっています。

これらの課題を克服するため、疎水化処理金属酸化物やシリコーン皮膜形成剤を活用したアプローチが注目されています。

課題解決の鍵を握る特許技術

たとえば、油性化粧品の性能向上を実現するため、国際公開番号「WO2022/138646 A1」特許では、以下のような材料の組み合わせが提案されています:

  • シリコーン皮膜形成剤(A):均一な化粧膜を形成し、高温下でも安定した状態を維持。
  • デキストリン脂肪酸エステル(B):低濃度(0.1–8%)で配合することで、滑らかな使用感を提供。
  • 有機変性粘土鉱物(C):粘度調整と構造安定化に寄与し、再分散性を向上。
  • 疎水化処理金属酸化物(D):高濃度(10–60%)での配合でも凝集を防ぎ、均一な分散性を実現。
  • 揮発性油剤(E):軽い仕上がりを保ちつつ、高温環境での化粧持続性をサポート。

この特許技術の特徴は、各材料の最適な配合比率を明確に規定している点です。例えば、デキストリン脂肪酸エステルは低濃度での配合で効果を発揮し、疎水化処理金属酸化物は比較的高濃度でも安定性を保つことができます。また、これらの材料を組み合わせることで、化粧品の高温安定性や耐久性、滲みにくさを大幅に向上させることが可能になるのです。

評価に必要な物性と目標値

油性化粧品の評価は、以下の試験を通じて検証することが一般的です:

  1. 粘度試験:室温および高温環境下で粘度を測定し、一貫性を評価。
  2. 高温試験:50℃で24時間保管後の粘度変化を測定し、耐熱性を確認。
  3. 再分散性試験:1週間静置後、均一な分散状態に戻す振とう回数を評価。
  4. 化粧持続性試験:6時間後の化粧膜状態を専門パネルが5段階で評価。
  5. 滲みにくさ試験:塗布直後のにじみ具合を確認し、輪郭保持力を評価。
  6. 皮膚適合性試験:敏感肌を含むすべての肌タイプへの安全性を確認。

これらの評価項目は、油性化粧品の品質を客観的に判断する上で重要な指標となります。特に、高温環境下での安定性と再分散性の評価は、製品の実使用環境を考慮した重要な試験項目です。

AIシミュレーションを用いた材料選定

これらの試験に基づき、高いパフォーマンスを持つ製品の開発が進められています。当社では、これらの傾向を学習した大規模なAIを構築し、最適な材料を予測することを試みました。以下は、AIが推定した重要なパラメータです。

図では、金属酸化物を含む化粧品における主要な課題が示されています。赤で囲まれた部分が示すように、金属酸化物は凝集しやすく、再分散が難しいという特徴があります。この課題に対しては、適切な溶媒や分散剤の使用が重要となります。

また、青で囲まれた部分は、化粧品の希釈溶媒の影響を示しており、適切な希釈溶媒を選択することで、再分散性を向上させ、化粧品の高温安定性を改善できることが示唆されています。このように、金属酸化物を含む化粧品の品質を最適化するためには、分散特性と高温安定性の両立を考慮した材料選定が重要となります。

AIによる解析の結果、以下のような材料が適切であると予測されました:

  • 高温安定性トップ3
    • ステアリン酸イヌリン
    • トリメチルシロキシケイ酸(BELSIL TMS803)
    • KSG-820
  • 再分散性の向上
    • デキストリン脂肪酸エステルと疎水化処理金属酸化物の組み合わせが最適。
  • 滲みにくさ
    • シリコーン皮膜形成剤と揮発性油剤のバランスが重要。

このように、AIによる材料選定の絞り込みにより、油性化粧品における高温安定性や再分散性の課題に対して、効率的なソリューションを見出すことが可能です。従来の試行錯誤的なアプローチと比較して、開発期間の短縮とコスト削減に直接的に貢献できる点で、化粧品開発現場での実用的な価値が高いと考えられます。

CrowdChemが油性化粧品開発を加速させる

油性化粧品の開発において、AIとデータベースを活用した材料設計は、高温安定性と再分散性の両立、さらには化粧持続性の向上を可能にします。特に、AIによる材料選定の絞り込みは、試作回数の削減と開発期間の短縮をもたらし、開発効率を大幅に向上させます。より優れた使用感と安全性を備えた製品をスピーディーに開発できるようになることで、パーソナライズ化粧品など新たなビジネスチャンスも広がるかもしれません。

CrowdChemの「分析サービス」と「CrowdChem Data Platform」は、化学分野における製品情報や特許データを活用し、このような効率的な研究開発を支援します。社内データがなくてもゼロベースから始められますので、ぜひご検討ください。

※なお、本記事に記載された内容は弊社の研究結果に基づくものであり、その完全性や適用性を保証するものではありません。

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記事監修者

徳田優希のアバター 徳田優希 事業開発統括
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