AI製品探索で勘に頼らない材料開発を!実例をもとに活用法とその効果を徹底解説

材料開発に際し、「もっと効率的な開発方法はないのだろうか」と悩んだことはありませんか? 研究者としての勘と経験に頼りながら試行錯誤を繰り返す方法では、時間もコストもかかるうえ、どうしても属人的になりがちです。

そんな中、AIを活用した材料探索が、開発プロセスに革新をもたらしています。AIを用いることで膨大なデータを分析し、最適な条件を提案することができるのです。これにより、勘に頼る開発から、データに基づいた効率的な開発への転換が可能になりました。

この記事では、弊社のCrowdChem Data Platformで行えるAI製品探索機能を中心に、材料開発の効率化について具体的にご紹介します。どのように開発プロセスが変わるのか、実例を交えてわかりやすく解説していきますので、ぜひ参考にしてください。

目次

材料開発者の課題:”勘”からの脱却と効率化

材料開発の現場では、多くの研究者が実験に要する試行回数の多さと予定通りに進まない不確実性に悩んでいます。

実験の試行回数が多くなる理由の一つは、材料の組み合わせや条件の膨大な可能性です。例えば、新しい合金を開発する際、元素の種類や配合比、熱処理条件など、無数の組み合わせが存在します。これらをそれぞれ検証するのは時間もコストもかかる作業です。

また、適切な材料を選定する過程も予想以上に時間を要します。目的とする特性を持つ材料を見つけるためには、既存の文献や特許を徹底的に調査しなければなりません。さらに、選んだ材料が実際の用途に適しているかを確認するための予備実験も必要となります。

加えて、材料開発では成果が時間に比例して出るわけではありません。例えば、前述のように吟味した条件下で実験を繰り返しても期待した特性が現れず、何か月も目立った進展がない時期もあります。逆に、偶然の発見や予想外の結果から画期的な成果が生まれることもあり、進捗の予測が難しいのが現状です。

このような不確実性と、研究者の勘に頼らざるを得ない現状を克服し、材料開発の効率化を図るため、近年AIを活用した新たな開発手法が注目されています。

AIが切り拓く、勘に頼らない材料開発の新時代

材料開発の世界では、長年にわたり研究者の経験と勘が重要な役割を果たしてきました。しかし、技術の進歩とグローバル競争の激化に伴い、より効率的で予測可能な開発方法の必要性が高まっています。

ここで注目されているのが、データやAIを活用した新しい材料開発のアプローチです。このアプローチでは、膨大なデータを分析し、最も有望な実験条件を絞り込むことで実験効率が向上します。また、過去の実験データや文献情報を効率的に活用することで、材料選定のプロセスが加速され、開発時間の短縮にもつながります。さらに、機械学習モデルを使用することで、材料の特性をより正確に予測できるようになり、人間では気づきにくいパターンやトレンドをAIが発見する可能性も秘めています。

これまで日本の材料開発の現場では、個々の研究者や企業が自前のデータを外部に公開せず、独自に研究を進める「クローズド」なやり方が一般的でした。しかし、近年、AIや大規模データ解析を活用した革新的な材料開発手法が注目を集める中、世界的にデータの共有やオープンサイエンスが広がっています。この「オープン」な研究手法は材料開発の時間を縮め、コスト削減にもつながりますが、従来の「クローズド」な手法からなかなか抜け出せなかった日本は材料開発の速度や効率において、世界と比較して遅れをとっていました。

しかし近年、日本もこのような世界の潮流に沿った変化が見られるようになりました。例えば、日立製作所やホンダなどの大手企業では、AIやデータ解析技術を積極的に取り入れ、データを最大限に活用して新素材の開発や製品の性能向上に取り組んでいます。

重要なのは、データやAIを「研究者の代替」ではなく「強力なツール」として捉えることです。研究者の創造性や直感と、AIの処理能力を組み合わせることは、日本の材料開発に新たな飛躍をもたらす可能性を秘めています。

次の見出しでは、このような新しいアプローチを実現する具体的なツールとして、弊社のCrowdChem Data Platformの機能と活用方法を実例を交えながら詳しくご紹介していきます。

効率的な材料開発をAI製品探索で実現、CrowdChem Data Platform

CrowdChem Data Platformは、AI技術を使って材料開発をより早く、より効率的に行えるようにする新しいツールです。大量のデータを活用し、研究者の知恵とAIの計算力を組み合わせることで、これまでにない方法で新しい材料を見つけ出すことができます。

AI製品探索機能の特徴は、成功しやすい実験の条件を提案できることです。また、製品、化学物質、特許などの関連情報を簡単に検索して見ることができる機能もあります。研究者は必要な情報にすぐにアクセスでき、物事をより深く理解することができます。

さらに、物質の名前や特定の性質に基づいて、最適な製品や材料を自動的に見つけ出す機能も備えています。研究者が求める特徴を入力すると、AIが大量のデータの中から条件に合う材料をすぐに探し出します。

AI製品探索がもたらす3つの革新的メリット

CrowdChem Data PlatformのAI製品探索機能は、材料開発の現場に大きな変革をもたらします。以下に、この革新的なツールがもたらす3つの主要なメリットを詳しく見ていきましょう。

  • 実験効率の飛躍的向上:AIが提案する確度の高い実験条件によって、試行回数を大幅に減らし、効率的な実験を行えます。
  • 開発時間とコストの大幅削減:効率的な材料選定と実験設計により、開発にかかる時間とお金を減らすことができます。
  • データに基づく客観的な研究開発:データとAIを使った科学的な方法により、より客観的で再現性の高い研究開発が実現します。

これらのメリットにより、CrowdChem Data Platformは材料開発の現場に革新的な変化をもたらし、研究者の創造性とAIの力を最大限に引き出すことができるのです。

実例:包装材料の一部をバイオマス原料に置き換えたい

ここで、包装材料開発のケースを例にCrowdChem Data PlatformのAI製品探索機能の具体的な使い方を見ていきましょう。

既存の包装材料の一部をバイオマス原料に置き換えた際の物性変化を予測するには次のような操作を行います。

CrowdChem Data Platformにアクセスし、AI製品探索機能を選択します。

②「特許実施例を選択」をクリックします。

③「データセット」から探したいカテゴリーを選択し「絞り込み」をクリックします。

④表示された特許候補の中から参照したい特許をクリックします。

⑤表示された特許に記載の実施例から、置き換えたい実施例を選択し、「AI製品探索」ボタンをクリックします。

⑥置き換えたい層を選択し、「製品」の横の「+」をクリックします。

⑦製品の検索画面で条件を絞り込み、置き換えたい製品を追加します。今回のようにバイオマス原料を選びたい場合には「特徴」の欄に「バイオ」と入力してから「絞り込み」をクリックすると、置き換え可能なバイオマス原料が表示されます。表示された製品の中から置き換えたいものを選択して「追加」をクリックします。

⑧置き換え前の原料の添加条件をもとに添加量の範囲を選択し、確定をクリックします。今回は置き換え前が13.5μmであったため、その値を含む11~20μmと設定しました。

⑨「上記条件で製品探索」をクリックします。

⑩探索履歴に結果が表示されますので、確認したい探索結果をクリックしてください。

⑪もともとの特許の実施例が黄色、置き換えて探索した結果が緑色の点で示されます。

このように、原料の一部をバイオマス原料(SLL-118)に置き換えた結果、膜厚が薄い場合は酢酸濃度やアンモニア濃度が高くなり、厚い条件では逆に低くなるという傾向が見られました。

AI製品探索を使うことで、実際に実験を行わなくても、材料の置き換えによる物性変化の予測が行えます。予測を用いて効率的に新しい配合や条件を見つけることができれば、開発時間とコストの大幅な削減につながるでしょう。さらに重要なのは、このプロセスが研究者の勘や経験だけに頼るのではなく、大量のデータとAIの分析に基づいて行われるという点です。これまでの非効率的で属人的な材料開発から脱却し、誰でも再現性の高い材料開発を効率的に行うことが可能となります。

AI製品探索で、効率的かつ革新的な材料開発へ

CrowdChem Data Platformは、材料開発の世界に革新をもたらします。経験や勘に頼る手法から脱却し、データに基づいた効率的な開発に切り替えることで、実験の不確実性が減少し、実験に割くリソースを大きく削減できるでしょう。

AI製品探索を使えば、材料を置き換えた実験の物性値を簡単に予測でき、最適な原料をスピーディーに見つけ出すことができます。研究者の創造力とAIの分析力を組み合わせることで、これまでにない革新的な材料開発が可能になるのです。

材料開発にかかる時間やコストにお悩みの方はぜひCrowdChem Data Platformをお試しください。

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