プリント基板とは、電子部品や配線を特殊な絶縁性の板に配置して電子回路を形成する絶縁性の板を指します。硬い材質の「リジット基板」と、柔軟性のある「フレキシブル基板」に大別され、近年ますます小型化・軽量化する電子製品において、その重要性が高まっています。本記事ではプリント基板の種類、メリット、製造方法について解説します。
プリント基板とは何か?
プリント基板とは、IC(集積回路)やコンデンサといった、さまざまな電子部品を配線して電子回路を載せる基板を意味します。絶縁体の板に銅箔パターンを形成し、そこにICやトランジスタ、抵抗、コンデンサなどを接続して電子回路が構築されます。
電子部品が接続されていない状態の基板をPWB「Printed Wiring Board」と呼び、電子部品を取り付けた状態の基板をPCB「Printed Circuit Board」と呼びます。
通常、プリント基板と言えばPWBのことを指しますが、広義には特に区別なく、PWP、PCBいずれもプリント基板と呼ばれます。
プリント基板の種類
プリント基板は、「リジット基板」と「フレキシブル基板」に分けられます。
「リジット基板」は、ガラスや紙にエポキシ樹脂を含侵させて作成された基板で、硬い物質です。他方、「フレキシブル基板」はPETやポリイミドを使用した基板で、薄く柔らかく自由に折り曲げたり形を変えたりできます。
それぞれの特徴は次のとおりです。
リジッド基板 | フレキシブル基板 | |
主な使用場所 | 部品搭載 | ケーブル |
ベース材料 | ガラス・エポキシなどの複合材料 | PET、ポリイミド、エポキシ樹脂やアルミナ樹脂 |
外観 | シンプル | 複雑 |
大量生産 | 標準化済み | 自動化が進んでいない |
面積当たりの部品搭載量 | 多い | 少ない |
コスト | 安価 | 高価 |
リジットプリント基板の種類について
最も多用されているプリント基板には、材質によってさらに幾つかの種類があります。それぞれの特徴を表にまとめました。
リジット基板の種類 | 特徴 |
ガラスエポキシ基板 | ガラス繊維を布状に編んでエポキシ樹脂を含浸。単価が安く汎用性が高い特長があります。 |
紙フェノール基板 | 紙にフェノール樹脂を含浸させた基材です。経済性や加工性に優れるという特長があります。 |
ガラスポリイミド基板 | ガラス繊維の布にポリイミド樹脂を含浸させた基板です。高強度、耐熱性が特長です。 |
テフロン基板 | フッ素樹脂(テフロン、PTFE)から成る基板です。高周波用基板として衛星通信や無線通信によく使用されています。 |
プリント基板のメリット
高性能な電子機器の場合、必要な電子部品やそれぞれを接続する配線の長さは膨大になります。プリント基板は、このように複雑化した電子部品や配線をコンパクトに収納するために開発されました。
特に最近の電子機器は小型化・軽量化の進行により、機器内部のスペースを有効に活用できるプリント基板は極めて重要な要素です。
また、プリント基板上への電子部品や配線の装着には、機械による自動化が可能というメリットもあります。複雑な配線も特殊な機械を使用すれば、均一で高品質な基板が短時間かつ安価に生産可能となります。
プリント基板の製造方法
プリント基板を製造するためにはまず、プリント基板上に描く部品と配線パターンと、ホール(穴)の位置を設計する必要があります。この部品と配線、ホールの位置情報をガーバデータと呼び、このガーバデータどおりにプリント基板上に設置します。
通常、プリント基板専用のCADソフトでデータを作成し(アートワーク設計)、プリント基板としての有効性をシミュレーションします。その後、基板への穴あけ、銅箔パターンの形成、ソルダーレジスト塗布、はんだ付け、検査を行い、プリント基板を完成させます。
まとめ
本記事では、電子製品の製造には不可欠なプリント基板について解説しました。プリント基板は、IC(集積回路)やコンデンサなどの電子部品、それらを繋ぐ配線で構成されたコンポーネントです。
近年小型化・軽量化が進む電子製品において、プリント基板の重要性がますます高まっています。プリント基板は、複雑な設計でもガーバデータで作成された回路に基づいて特殊な機械が部品同士を配線していくため、安価で高品質なプリント基板が大量に生産できます。
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代表取締役 池端 久貴
化学メーカーで営業、半導体装置メーカーでマーケティングの経験を経て、総合研究大学院でマテリアルズ・インフォマティクスを研究。その後、統計科学博士を取得し、旭化成(株)でマテリアルズ・インフォマティクスや自然言語処理技術活用の推進に従事。2022年に(株)CrowdChemを創業。